常勝鷹軍団を支える、甲斐拓也。要としての、揺るがぬ存在感。

昭和の終わりから平成の初期、黄金期を築き上げた西武ライオンズには、伊東勤が扇の要としてチームをコントロールした。その後、西武を打ち破るなど、日本一にも輝いたヤクルトスワローズは「ID野球の申し子」古田敦也が攻守に渡り、大黒柱となり続けた。

頂点に君臨した常勝軍団には、間違いなく、時代を代表する名捕手の存在があった。

そして、令和を迎え、日本シリーズ4連覇を成し遂げている福岡ソフトバンクホークスは、今季も甲斐拓也が、正捕手としてマスクを被り投手陣を牽引する。

ベストナイン2度、ゴールデングラブには4年連続での受賞と捕手として、リーグ、そして球界を代表する地位にまで登り詰めた。昨年は103試合の出場に止まり、「甲斐キャノン」と呼ばれる強肩も、盗塁阻止率からみると数字の上ではやや落ちてきているものの(昨季.328 パ・リーグ2位)、決して衰えをみせた訳ではない。

リーグでは2年連続でチーム防御率トップの成績を残し、エース千賀滉大とは最優秀バッテリー賞も受賞している。リード、インサイドワークにおいては年々、成熟度を増してきていており、ベテラン、若手の競争が著しいホークス投手陣からの信頼も厚い。キャンプ中には今季40歳を迎えるベテラン左腕・和田毅も、甲斐を座らせての投球練習で「『良い球が来ている』と、言ってもらった」ことで、自身の投げ込みへの好感触を得ている。この時期、正捕手に受けてもらうことは、投手の状態をみるうえでのバロメーターとして重要であることが伝わるエピソードだ。

また、一昨年からホークスの背番号「19」を背負う存在として、嫌がうえにも特別な視線を集めることは間違いない。南海の黄金期を支えた故・野村克也さんから引き継がれた背番号の重みを感じるからこそ、チームをさらなる高みに引き上げていかなければならない。打者として、捕手として、球界に測り知れない功績を残した野村克也さんの存在と重ねられる機会も少なくないだろう。今季は「守備はもちろんだが、自分が打つことも、チームにとって重要」と、これまで以上にバッティングでの貢献への意気込みも語っている。

過去2年連続で、選手権において4連勝と、圧倒的な強さを見せつけたことで、ソフトバンクホークスが、現代の最強チームであることは証明された。そして、この先もそのチーム力は、さらに強大なものとなっていくはずだ。

何十年か先、令和の最初の時代を振り返った時、常勝を誇り続けたホークスの中心として、捕手・甲斐拓也の存在が球史に刻まれていることは間違いないだろう。そして、捕手として、これから全盛期を迎えるであろう、その攻守における活躍ぶりを、我々の脳裏に焼き付けていきたい。(佐藤文孝)