カテゴリー
未分類

エース菅野が敗れた日

 菅野智之が負けた。

 10月13日の東京ドームでの対広島戦、6回を投げ4失点で降板、ビハインドを跳ね返すことが出来ずにチームが敗れたことで、菅野が敗戦投手に記録された。この出来事は、今シーズンのプロ野球において、ちょっとしたニュースとして記憶されそうだ。

 通常であれば、先発投手の負けが大きくクローズアップされることは、まず、ない。チームのエースであれば、年間で数多く、様々なシチュエーションでマウンドに登る為、勝ち・負けとも、それらの機会は毎回の様に訪れるからだ。

 ただ、菅野の場合は違う。いや、今シーズンの菅野に限っては、その理屈は当てはまらない。プロ野球ファンならば誰もが知っているとおり、ここまでまだ、たった一つの黒星も喫していなかったからだ。6月19日の開幕戦で先発し勝利を挙げてから13連勝(勝ちっぱなしではないものの)を成し遂げてきており、他の5球団全てから白星を手にし続けてきた。

 菅野自身、公式戦では昨年の日本シリーズ第4戦以来、実に一年振りの敗戦投手となったものの、「今まで順調に来すぎていた」「これを肥やしにして、次の登板に向けてしっかりと調整します」と、先を見据えたコメントを残している。

 

 腰痛に苦しみ、シーズンを通して不本意なピッチングが多かった昨シーズン。リーグ優勝を果たしたものの、ソフトバンクとの日本シリーズでは4連敗での敗退。菅野は最終戦の先発を託されながらも流れを食い止めることができなかった。本人のみならず、ファンにとっても苦い記憶のほうが強く残された一年だったと言える。

 数多くの悔しさを味わった昨年をバネに挑んだ今季、投球フォームも大きく変えたこともあり、ここまで好調を維持してきている。一敗を喫してとはいえ、13勝はリーグ唯一の二桁でありダントツの勝ち数、さらには防御率もトップ、勝率は言わずもがなであるなど、個人タイトル総ナメの期待もかかっている。「強い菅野」を完全に取り戻した2020年だった。

 ジャイアンツの優勝マジックは一桁がもう目の前、ペナントの行方はほぼ決している。残り試合、さらにはその先のステージへと、エース菅野の存在感はさらに増していくだろう。

 今季初黒星となった13日のカープ戦、4点リードされた5回裏自軍の攻撃の際、2死からランナーが出ると、バッターボックスに悠然と向かったのは投手・菅野。指揮官・原辰徳監督はベンチから微動だにせず、代打を送るそぶりはまるでみせることはなかった。誰もが「納得」したそのシーンは、今後の菅野がさらに強くなっていくことを予感させるに十分だった。(佐藤文孝)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA