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崖っぷち豊山、試練の復帰場所へ

本場所が目前となると、どうしても気になるのが同郷力士の状態だ。新潟県出身でただ一人の幕内力士、豊山亮太は11月場所に再起を期す。

先場所は右足首の負傷により中日から休場、白星は僅かに二つのみ。7月に続き、2場所連続での負け越しを喫している。

8日の初日に向け稽古を積んでいるものの、怪我の状態は万全とは言い難い。先月末に伝えられた報道によると「7割ぐらい回復」。また、「15日間、戦える体をつくりたい」と、ギリギリまでコンディションを取り戻すことに力を注いでいる印象だ。

デビュー当時より呼ばれていた「怪物」の異名にふさわしく、力強く前へ出続ける相撲で白星を重ね、僅か4場所で十両昇進を果たす。さらに、十両でも3場所を勝ち越し、初土俵からおよそ1年で新入幕にまで登り詰めた。ただ、そこから現在に至るまで分厚い「壁」に跳ね返され続けている。

幕内では場所毎に調子の波が激しく、優勝争いに加わったかと思えば、翌場所は大きく負け越すなど、安定した成績を残せずに来ている。昨年は十両への陥落もあり幕内定着もままならず、土俵上でも明らかに迷いの表情を浮かべる時すらみられた。肉体と精神の歯車が噛み合わず、いとも簡単に俵を割る取り組みが目立つ。

今場所の番付は東の12枚目。成績次第では来年には再び、幕内の地位から離れなければならない事態もあり得る。その事実は本人はもとよりファンも心得ており、怪我からの復帰場所ではあるが、崖っぷちに立たされていると言ってよいだろう。

また、プロ入り以前よりライバルとして比較され続け、同期でもある朝乃山は既に優勝も経験しており、現在では角界を背負う立場となっている。もはや番付以上に、手が届かないところまで差がついてしまった格好だ。余計に「怪物」の勢いは力強さを失ったようにも感じ取れてしまう。    

ただ、兄弟子である、新大関・正代に大きな注目が集まることが予想される中、「自分は自分」と、自身の足元を見つめている。入門より、その背中を追いかけ続けていた頼れる兄貴分ではあるものの、どこか精神的に距離を置いているようにも感じられる。公私で親しく接してきた正代の存在を意識することなく、「独り立ち」したのであれば本来の能力を発揮できるのではないだろうか。

「休んで人の相撲を観るのはつらい」とコメントしていることからも、やはり自分が土俵に上がることこそが大前提だ。苦境を乗り越え「心・技・体」が一つになった時、秘められている潜在能力は今まで以上に放たれる。豊山亮太はそんな力士だ。(佐藤文孝)

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