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貴景勝、稽古再開 それぞれの未来の実現へ向けて

若き大関が、さらなる宿命を負う。

大相撲11月場所で2度目の優勝を果たした貴景勝が稽古を再開した。来年1月の初場所は綱取り場所としての期待が寄せられており、「小さいころから目指してきたもので、横綱になりたいというのはある」と語り、はっきりと最高位に向けての意思をあらわにしている。

横綱昇進への条件として挙げられる2場所連続優勝は決して簡単ではないことは、先場所の展開を振り返っても明らかだ。千秋楽、優勝を争うライバル・照ノ富士との直接対決で裏返しにされ、決定戦で勝利した薄氷で掴んだ賜杯だった。本割では抱えられて自らの勢いを消され、「決戦」となった一番では全身でぶつかり迫りくる強敵を土俵の外へ。「自分には押し相撲しかない」と、自身の取り口への信念を確かなものとしている。

その貴景勝と激しく競い、今年2度目の優勝を狙った照ノ富士も、来年の飛躍する姿を思い浮かべてしまう。三役復帰となった11月場所は目標として「二桁」を口にしてきた。中盤までに黒星を2つ喫するも、大関と共に場所の主役を担い、相手を抱え上げるなど体格を活かした強さを発揮、堂々たる相撲を取り続けた。大怪我と戦い、16場所ぶりの関取への復帰、そして返り入幕など、大きな話題となった今年は十両時の初場所も含めた全5場所を全て勝ち越し、幕内で13勝を2度記録するなど存在感を強く印象付けた。

優勝決定戦では「悪い癖が出た」と、押しに屈し上体が起きたことを敗因として挙げている。それでも賜杯を最後の土俵まで争った上での13勝は来年へ重要な意味を持つ。この先について「元の位置まで戻る」と、再び自身最高位を目標として掲げている。来場所以降も土俵上の中心となり、その言葉通りの活躍が見込まれている。

1年納めの場所を最後まで盛り上げた両力士の競い合いで圧せられた「熱」は、ともに自身のもつ色を出し尽くしたからこそ生まれたものだった。そして、身体を動かす原動力となったのは自らが目指す未来であり相撲への想い。取り口や番付へのこだわりも含め、観ている側は様々なストーリーを紡ぐ。

史上初となった無観客での開催や、場所の中止、途絶えることのない負傷力士の休場など、ともすれば明るい話題の少なかった令和2年の大相撲界を先頭に立ち引っ張った両力士の功績は大きい。「横綱昇進」「大関復帰」という壮大な目標実現とともに、近い将来、二人を称える大きな声援を観客席から贈りたいと思えた、11月場所の熱戦だった。(佐藤文孝)

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