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苦戦が続く中、増し続ける背番号49の頼もしさ

12月6日、アルビレックス新潟はアウェーで松本山雅に1対3で敗れた。これで、ここ4試合で1分け3敗と、立て続けに黒星が重なっている。今季のJ1昇格の可能性が消えたこともあり、緊張の糸が切れてしまったかのような、ここ数試合の戦いぶりだ。

松本山雅戦でも、連戦の疲労からか攻守に渡り、多くの選手のミスが目立つなどもどかしい程、チームとしての連動がみられなかった。中盤で相手にボールを動かされ、失点シーンではサイドを崩された。前線とバックラインとの距離も遠く、築き上げた新潟のサッカーが影を潜めてしまっていた。

その中で、一矢報いる得点を挙げたのは鄭大世。この日もワントップ起用で最前線で身体を張り続けながら、攻撃の起点としての役割をこなしていた。そして、この日唯一の新潟のゴールは、これまで多くの修羅場を経験してきたストライカーらしい、「凄み」を感じさせるものとなった。

前半29分にセットプレーから田上大地がファウルを受けて得たPKのキッカーとして、背番号49がペナルティスポットに立った。右足で蹴られたボールは、鮮やかにゴール左隅に突き刺さる。だがその直後、審判からもう一度蹴り直しを命じられた。蹴る寸前でフェイントを入れたことで、味方がエリアに先に足を踏み入れてしまったためだった。納得の行かない表情を浮かべる鄭大世。先制点を奪われ、絶対に決めなければならなかったPKは成功したはずだった。蹴り直しの判定に、サポーターは嫌な予感だけが胸の中を覆った。

もう一度、ボールを前にして立つ鄭大世。同じ様なステップで、同じ様に右足を振り抜く。同じくゴール左隅であり、さらにシビアなコースに、キーパーが反応するも届かないスピードで蹴り込んだ。今度こそ文句なしのゴール後、笑顔のチームメイトが群がるも得点者は表情を崩さず「どうだ」と言わんばかり。2度のキックを、2度とも同じ方向で決めたこのゴールは、強烈なまでにストライカーとしての意地とプライド、そして風格を感じさせるものとなった。

これで今季8得点目、今季シーズン中での加入ながらチーム最多得点だ。蹴り直しは「だいぶ難しかった」といいつつも点取り屋としての技術の高さ、さらに気持ちの強さも見せつけ、苦境でも最も頼りになるプレーヤーだと改めて思わせるゴールとなった。主力の怪我が相次ぎ、思い通りの戦いが出来ずにもがき続ける2020シーズンも残り3試合。経験豊富なストライカーに牽引され、最後まで新潟らしい戦いを見せることが確実に来季へと繋がってゆくはずだ。(佐藤文孝)

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