カテゴリー
未分類

森下暢仁は未来の投手王国を担う

「投手王国」。1980年代から90年代にかけ、広島カープの投手陣を多くの人々はそう呼んでいた。

長年に渡り、広島投手陣を支えた、エース北別府学をはじめ、大野豊、川口和久の両サウスポー、そして「炎のストッパー」故・津田恒美等を擁し、圧巻の投手力を前面に押し出し、セ・リーグを席巻した。

1990年に入団した、佐々岡慎司現監督も王国を彩った一人。新人当時から先発・リリーフでフル回転し、13勝17セーブを記録、翌年には最多勝を獲得し、エースとしてリーグ優勝に貢献した。北別府、大野、川口と共に、選手権では王者・西武をあと一歩まで追い詰めている。

その佐々岡監督の現役時の背番号18を引き継いだ、森下暢仁が2020年の新人王を獲得した。10勝3敗、防御率1.98という文句なしの成績を収め、不振だった大瀬良大地に代わり、広島投手陣の中心として存在感を示した。

昨年連覇を逃し、佐々岡新監督の元、巻き返しを図ったものの今季もBクラスに沈んだカープにおいて、数少ない明るい話題だったと言えるかもしれない。だが、森下の発揮し続けたパフォーマンスはもちろん、その精神力は、来季以降の広島投手陣を盤石にするための強靭さを感じさせるに充分なものだった。

何より、ローテーションを守り抜き、規定投球回到達したことは、自身の先発投手としての価値をさらに高めたと言って過言では無いだろう。

シーズン最終盤まで繰り広げられた、中日ドラゴンズの大野雄大との防御率争いでは最後までタイトル獲得の可能性が残った。だが、「防御率1点台を維持したい」という、本人の意志により、リードしていた大野に次ぐ2位のまま、シーズンを終えた。がむしゃらにタイトルを狙いに行くことをせず、数字への強いこだわりをみせている。10、11月の5度の登板では、4勝、失点も僅かに2と抜群の安定感を披露していた中でも、決して防御率タイトルも夢ではなかっただけに、ルーキーに似つかわしくなく、先を見据えた23歳の重みのある選択だった。

津田恒美をはじめ、何人もの歴代の新人王を輩出し、王国と呼ばれるほどの投手陣を作り上げてきたカープの将来を担う森下暢仁。今季の活躍で、新たな投手王国の中心となり得る存在であることは証明された。カープの覇権奪還のためには、投手陣の中で5年ぶりにエースナンバーを与えられた若き右腕がさらにマウンド上で躍動することが求められる。そして、森下には来季、カープを上位に引き上げることを実現するためのポテンシャルは間違いなく備えている。(佐藤文孝)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA