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今場所を牽引した大栄翔。相手を圧倒し続けた押し相撲の魅力。

大相撲初場所は平幕の大栄翔の初優勝で幕を閉じた。13勝2敗、27歳の初の賜杯は、新たな一年の始まりの場所として、大きな期待を抱かせ、混迷の時代を生きる人々を勇気づける結果と言えるだろう。

一夜明け会見では「最大の目標だったので達成できてうれしい」と、喜びを語っている。

さらに、「立ち合いでの踏み込み、角度、鋭さがあった」と振り返った様に、自身の形である突き押しで攻め続け、2021年の初場所を力強い相撲を貫いた。両横綱不在、綱取りが注目された大関・貴景勝の不振と、ネガティブな話題が先行した場所を、初日から存在感を発揮し、牽引した。

今場所の大栄翔の強さを象徴した取り組が、7日目の隆の勝戦だ。

初日から6日間続いた3役力士との対戦で全て白星を挙げ、今場所土俵に上がる役力士との最後の一番。

既に勝ちっぱなしで幕の内単独トップを走っていた中で迎えたこの日の取り組みも、重圧とは無縁だった。

立ち合いで思い切り頭から当たると一瞬で相手の上体を起こし、何もさせないまま突き押しで土俵の外へ押し出し、関脇を圧倒。真正面からぶつかった立ち合いで聞こえた、激しい唸り声が気迫を表していた。

中日以降、二つの黒星を喫したものの、場所の終盤の優勝争いにおいて大関・正代との一騎打ちとなったが、星の差では終始リードしていた他、相撲内容でも勝っていた。カド番での今場所、初日より慎重さから本来の力を出し切れず、土俵際での薄氷の勝利が続いた大関とは勢いと躍動感が比較にならなかった。もう一人の大関である朝乃山、昨場所準優勝の照ノ富士ら、他の上位陣の相撲も影を潜めるほど、令和3年の初場所は大栄翔の独壇場と言える場所だった。

昨年は5場所の内、2場所で二桁勝利、秋場所では東の関脇を務めている。今場所の前頭筆頭での優勝により、返り三役となる春場所では大関復帰が有力視される。会見で来場所への意気込みを「関脇での勝ち越しを目指したい」とコメント。

千秋楽、隠岐の海戦を勝利し初優勝を決め、喝采を浴びながらも、表情は険しいままだった。土俵上では決して崩すことのないその顔つきは、27歳とは思えない程の、落ち着きと野武士のような荒々しさを感じさせる。対戦相手をぶちかましで吹き飛ばしてきた相撲は来場所以降も、相撲ファンの注目を浴びる筈だ。今年最初の主役となった大栄翔は、これまでの「実力者」という枠から一気に飛び出し、相撲界の新たなスターとしての、さらなる飛躍の予感を抱かせる。(佐藤文孝)

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