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氷上の奇跡、眩い五輪の記憶②

アイスホッケーというスポーツの魅力を存分に感じることが出来ることも、映画『ミラクル』の大きな特徴の一つだ。物語のクライマックスである五輪準決勝、対ソ連のゲームではまさにアイスホッケーの持つスピード感、激しさ、緊張が伝わってくる。

繰り返し表現されている互いのフィジカルチェックは、演技とは到底思えない程のまさに体と体の「衝突」だ。また最終ピリオド、静寂の中でのフェイスオフシーンは、両チームのプレーヤーの鼓動が聞こえてきそうなほどの緊張感と共に描かれている。

さらに、相手のファウルによりパワープレイ(数的優位)のチャンスを掴むと、アメリカチームは高い得点力を発揮するセット”コーンヘッズ“をリンクに送り、狙い通りに得点に結びつける場面は痛快であり、相手との接触でゴーリーがしばらく起き上がれず、ダメージの回復を待ちながら立ち上がる姿は、実際のゲーム同様、息をのんで見守ることとなる。

何より、打倒ソ連という「悲願」を実現させた選手、監督、コーチ、観客の試合後の一体感は、まさに観ているもの自身も、映画の中の歓喜の渦に引き込まれたような感覚さえ憶えてしまうほどだ。1980年冬季五輪レークプラシッド大会での「ミラクル・オン・アイス」は、この映画により後世まで色濃く伝えられることだろう。

また、アメリカアイスホッケーチームがこの時の快挙を再現させるべく、金メダル獲得を狙ったのが2002年のソルトレークシティ大会。聖火最終点火者のみならず、指揮官はレークプラシッド大会と同じく、ハーブ・ブルックスが率いた。また、大会日程が1980年大会同様に、2月24日が決勝戦に設定されたことなども含め、前年の同時多発テロにより大きな傷を負ったアメリカ合衆国を立ち上がらせるべく、アイスホッケーでの頂点へ向かう意気込みが表されていた。

プロ選手参加が認められて2大会目となったソルトレークでは、アメリカはフィンランドを6-0と一蹴すると、その後も無敗で勝ち進んだ。準決勝ではやはり宿敵ロシアを迎え撃ち、激闘の末3-2で勝利。「奇跡」への期待が膨らんだものの、ファイナルではアイスホッケー王国・カナダに2-5で屈し、金メダル獲得はならなかった。

それでも、アメリカ国民の期待を背負い、威信を賭けた戦いを繰り広げた一連のプロセスからは、スポーツの、オリンピックという舞台のリアリティを味わうことが出来た。そして、その雄姿は永遠に語り継がれていくこととなるはずだ。

オリンピックはどの時代も、選手たちの美しい記憶と共に、残り続けていかなければならない。(佐藤文孝)

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